<前編>自分をよく知り、自分に合ったやり方を「継続」することが大事

今回は、元ノルディック複合競技の加藤大平選手のインタビュー記事をお届けいたします。

ノルディック複合競技とはスキージャンプとクロスカントリースキーの複合競技で、瞬発力と持久力の両方が求められるスポーツです。

加藤選手は2007年からワールドカップに出場し、2年連続で個人戦3位入賞の成績を修められました。33歳まで現役を続けられ、2018年4月に現役引退されました。

加藤選手がこれまで競技とどう向き合ってきたのか、また心や身体の管理についてお話を伺いました。私たちの生活にも通ずるお話ばかりです。ぜひ最後までお読みください。

 

—まず、ノルディック複合競技は、タイプの違う2つの競技に取り組むということで、普段からどのようなトレーニングをされてきたかについて教えていただけますか?

それぞれの競技をやるにあたり、バランス良く身体をつくっていく必要があります。持久力ばかり鍛えていると瞬発力が落ちたりするので、スキージャンプが得意ならクロスカントリースキーを多めに練習するなど、練習方法をいつも考えながら取り組んできました。

スキージャンプの調子が出ているときはクロスカントリースキーが不調になることはよくあります。ですから、スキージャンプはだいたい午前中に飛びます。回数は、多くても1日7本。だらだらやると疲れてしまうので、毎日の練習時間を短く濃くするように心がけていました。

 

—闇雲にトレーニングするのではなく、メリハリをつけることが大事なのですね。1年の中で練習をしない日はどのぐらいあったのでしょうか?

オンシーズンは、10日間の合宿で半日休みが2回あればいい方です。半日の休みが1回だけの場合もあります。合宿から帰ってきたら次の日は休み、また次の日から再び練習が始まります。

毎年3月末にはシーズンが終わり、4月は練習量が落ちますが、オフシーズンをどれくらいとるかは人それぞれですね。

これは私の場合の練習量なので、もっと練習する人もいればしない人もいます。私は基本的に練習が好きなので、たくさん練習するのですが、練習をしすぎるとケガや疲労につながりますから、適切な練習量になるように調整していました。

ケガをしてしまうとそのシーズンは競技に取り組めなくなってしまうからです。

 

—競技生活におけるサプリメントに対する考え方についても教えていただけますか?

基本的にAHCCなどのサプリメントは継続することこそが一番大事だと考えています。エビデンス(=科学的根拠)がしっかりしたサプリメントを摂っている、ということが安心感にもつながりますよね。

「塵も積もれば山となる」ということばがありますが、信頼できるものを継続して摂ること、日々の積み重ねが大切です。

 

-厳しいトレーニングや試合のプレッシャーなど、競技生活では心のケアも大切になりそうですね。

そうですね。正直、私は根っからのポジティブ思考というわけではありません。でもスキーをやっているときが楽しくて、好きだから続けられてきたので「かなり幸せ者なんだな」と思いながらやっています。

ジャンプを始めたのは小学生からですが、本格的に力を入れ始めたのは中学生の時です。ジャンプが盛んな「下川商業高校」へ進学し、そこで大きく伸びたと思います。世界大会に初めて出たのは高校三年生の時でした。

実はジャンプが怖かったので、中学校を卒業したらスキーをやめようと思っていたんです。

高校生になったら、札幌の大会では宮の森、大倉山と大きなジャンプ台を飛ばなければいけなくなるからです。自分が飛ぶ想像ができなくて、怖くて飛びたくなかったのですが、「中学校卒業するまでは絶対に続ける」という父との約束があったので途中では辞められませんでした。

中学3年の時に北海道全道大会で初めて優勝し、もう辞めるとは言えなくなってしまったので、そのままスキーで進学しました。

 

-これまでの選手生活について振り返ってみていかがでしたか?

本当にあっという間でした。長くやっていれば、結果が出る時も出ない時もあります。改善の余地があったり、「もう少し伸ばせそう」という期待感を感じられなければ、続けてこられなかったと思います。

振り返って、世界の大会にたくさん出られたこと、とりわけワールドカップに156試合出場できたことを誇りに思っています。嬉しかったですね。

ケガをしてしまったときは競技にまともに取り組めないので、ケガをした要因などを振り返り、そうならないようにするためにはどうしたらよいかを考えて、練習法に反映するなどしてきました。

 

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加藤選手のお話は後編に続きます。

後編では、競技生活中の健康管理や食事についてより詳しくお届けいたします。次回もお楽しみに!

 

 

加藤大平(かとうたいへい)

<元ノルディック複合競技選手>

2010年バンクーバー大会、2014年ソチ大会と2度の冬季オリンピックに出場。バンクーバー大会では団体ラージヒル6位入賞。ノルディック世界選手権は2007年から5大会連続出場。2009年のリベレツ大会(チェコ)にて、日本勢14年ぶりの金メダル獲得に貢献。

ワールドカップでは2012年、2013年に、2度の個人戦3位表彰台を記録。世界トップレベルの選手のひとりとして、長きにわたって活躍してきた。