【レポート】ICNIM2018公開シンポジウム 「HPVと子宮頸がん、食品の役割」について

7月21日、22日の2日間にかけて開催された、統合医療機能性食品国際学会(ICNIM)にて「HPVと子宮頸がん、食品の役割」というテーマで公開シンポジウムが行われ、100名以上の健康に関心のある一般の方が参加されていました。

<登壇者>

  • 櫻木範明先生(一般社団法人ピーキャフ PCAF 代表理事 北海道大学 名誉教授)
  • Judith Smith先生(テキサス大学 McGovern Medical School 准教授)
  • 大野智先生 (大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄附講座 准教授)
  • ファシリテーター:狭間研至先生(大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄附講座 特任准教授)

今回の講演内容のポイントは、

  1. 「子宮頸がんの主たる原因と予防・早期発見の重要性」
  2. 「私たちが自分で情報を集める時に気をつけるべき視点」
  3. 「HPVに関する最新の研究紹介」
    です。
    今回は、1.「子宮頸がんの主たる原因と予防・早期の重要性」についてレポートします。

 

「子宮頸がんの主たる原因と予防・早期発見の重要性」

北海道大学名誉教授の櫻木範明先生からは「子宮頸がん」にかかった方のうち、およそ90%がHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染に関連するというデータが紹介されました。HPVは非常にありふれたウイルスで、女性に限らず男性も生涯に一度は感染しているとも言われています。

HPVは、感染してもすぐにがんに発展するわけではなく、多くは私たちが持つ免疫の力で消失させることができると言われています。しかし、HPVに感染しても自覚症状はないことから、気付かないまま継続的に感染していると、がんに発展するリスクがあると言えます。

子宮頸がん検診には“予防”の役割もある

浸潤(しんじゅん)がん(=がんがまわりに広がった状態)に発展するピークは、35~49歳というデータがあり、その前段階の上皮内(じょうひない)がんのピークはその5~10年前です。

特に若い女性はHPVの感染頻度が高く、HPVの感染が引き金となり上皮内がんに発展するリスクが高いとされています。上皮内がんから浸潤がんへと段階を経て進行していくため、早期に発見・治療することが重要で、20~30代の若いうちから「検診を受けることが重要」と先生は繰り返しおっしゃっていました。

日本での子宮頸がん検診の受診率は未だ低く、イギリスが70%であるのに対し日本は40%程度にとどまっています。

このことから、日本は子宮頸がん予防への対策や検診の重要性についての認識が立ち遅れていると言わざるを得ません。

櫻木先生は子宮頸がん予防のために、

  • まずは検査を受診する
  • ワクチンの接種を受けることも選択肢のひとつ

であり、

もしガンになったら、通常の治療に加えて

  • QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を上げる個別対応
  • functional food(ファンクショナル・フード)=AHCC®などの自然免疫を維持向上させる食品の活用

これらを加味することが大切とお話しくださいました。

近年、子宮頸がんの若年化が問題になっており、若い世代における上皮内がんの罹患率は、ここ10~20年の間に10倍近く増えているそうです。これは、思春期にHPVに感染することで上皮内がんに進行しやすいためと考えられています。

私たちが子宮頸がんから身体を守るためには、まずHPVの検査や子宮頸がんの検診を受けること。そして、自分自身でHPVを消失させられるよう免疫力を維持することが重要です。

上皮内がんが見つかった場合には、早期治療に取り組むこと。こういったことが若いうちから認知されることがとても重要だと感じました。

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次回は、大野智先生(大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄附講座 准教授)の講演内容を、「私たちが自分で情報を集める時に気をつけるべき視点」にスポットを当ててお届けいたします。

ICNIMで発表された演題などにつきましてはオフィシャルホームページで確認いただけます。併せてご覧ください。

http://icnim.jpn.org/conference/program.php