まずは研究員が「自分で飲んでみる」 ~新しい製品を開発する現場の最前線から~

今回は、株式会社アミノアップ化学 研究部部長/品質保証室室長の西岡浩さんにお話を伺いました。2回に分けて、「研究」の最前線を統括する西岡さんのインタビューをお届けいたします。

―お仕事の内容を教えて下さい

北海道の資源に着目して、素材の可能性を色々な角度から研究しています。新しい素材が生み出されるまでに、開発には5年から10年かかります。

 

―健康食品開発にはどのような想いを持ち、取り組まれていますか

“健常者が病気にならない”状態にすることを目指します。

今の日本は、「寿命」は延びていますが、実際に健康でいられる年齢「健康年齢」とは10年くらい乖離があります。人生を終える日まで元気に過ごすことが、一番良いあり方なのではないか、と思います。亡くなるまでの10年間は寝たきりというのではなく、そういった状況を例えば5年でも短くできればいいですね。

今の医療では、死亡率を下げることはできるかもしれませんけど、寝たきりの状態になるのを薬だけで防ぐことはなかなか難しいものです。

そういったところで、病気を予防し1日でも長く健康な毎日を送るためには、健康食品の役割というのはあるのではないかと思っています。

 

―健康食品の取り入れ方は人ぞれぞれですが

薬のように用法、用量が厳密に決まっているわけではありませんから、すぐ効くだろうと思って摂取しても、薬のようにはいきません。

けれど、長く飲んでいくうちに「最近ちょっと変わったよね」とか「最近疲れにくくなったよね」とか、体感していくものだと思うんです。

 

―長く継続することによって意味があるということでしょうか

その通りです。少し難しい話になりますが、動物レベルで評価しますと、明らかに薬の方が作用は強いです。薬の方が10倍、20倍、100倍以上強い場合もあるんですよね。

その分、いわゆる副作用と呼ばれる、あまり嬉しくない作用が出てまいります。

ですが、当然、私たちにとって薬が必要な(薬を取り入れたい)時も出てきます。西洋医学の薬だけでは足らないようなところを補うのが、健康食品です。

西洋医療にプラスして、西洋医療だけでは足らないような医療を補完していくということですね。

 

―研究はどのようにおこなっていますか?

例えば、「ある不調」が起こるとします。それにはいろんな原因が考えられます。原因があって、不調があります。その中で一番メインとなる原因はなんだろう?というのを、ひとまず考えます。いくつかの方法で原因を探る実験を繰り返して、「ある不調」に対してヒットするようなものを探すわけです。

健康食品はあくまで食品ですから、「食経験」がないといけません。今まで食べられたものでなければ、安心して飲むことはできないですから。

例を挙げれば、AHCC®でしたらキノコ。当社の他の素材では、オリゴノールならライチ、ETAS(イータス)はアスパラから抽出しています。

 

―研究のスタートは、「自分で飲んでみること」と伺いました。

はい。とても重要なことは、「研究員が試すこと」です。効果がないものを欲しいと思う人はいませんから、買っていただけません。まず自分たちで試します。開発している人が自ら飲んで体感できれば、自信をもって研究を進めていくことができます。

実は、私は以前、薬のメーカーにいたことがありました。良い、良くないという話ではありませんが、薬は安全性を確認して開発していく一方で「自ら試す」という発想が当時はありませんでした。アミノアップ化学に入って間もないころ、私の研究開発の姿勢をアミノアップの創業者である小砂に怒られたんです。

「何を開発しているんだ!まず自分で飲んで体感しないと意味ないだろう!」と。

こっぴどく言われまして、まさしくそうだ、と思いました。それからは、開発担当者が開発を手がけているものは必ず自分たちで試すようになったんです。

 

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西岡さんのお話は後半に続きます。次週もお楽しみに!