病気を治すのは“自分”。“寿命”をどう生きるか?<後編>

北河内藤井病院・副院長の川口雄才先生にお話を伺いました。(前編はこちらです)

インタビュー後編では、統合医療についてのご見解と、“自分の寿命と向き合うこと”、という観点からお話いただきました。

-抗がん剤と機能性補助食品を併用する「補完代替医療」に関わられてきて、その広まりについて先生はどのようにお感じですか?

統計と確率が重要視されている西洋医学の世界では、まだまだ広まりがこれから、という感じですね。

薬は“単剤”なので比較しやすいんです。がんで手術したとして、手術後に抗がん剤を飲まない群と飲む群とを比べたら、抗がん剤を飲む群の方が、統計学的に効果があった。

そうしたら抗がん剤を使いましょう。これが科学的根拠、エビデンスと呼ばれるものです。

代替医療ではエビデンスがなかなか取りにくいのです。“エビデンスがないと受け入れにくい”というのが、西洋医学的な考えです。補完代替医療は、統計だけでなく個人を中心にして考えますからそこが違う。

それで考え出された言葉が、「ベストケアサポート」です。その人にとって最良の治療をする。上手くいったら、それがその人にとってのエビデンスですよという考え方です。

 

-西洋医学単体の考え方と、統合医療の考え方について、もう少し詳しく聞かせていただけますか。
西洋医学では治療の決まった手順やガイドラインのようなものがあります。その道を外れると“もう私は知りませんよ”、“責任を負えませんよ”、となってしまう。

西洋医学におけるエビデンスとは統計と確率のことで、個人ではなく全体を見ているんです。

つまり、100人の「データ」を見ているけれども、そこに「個人の物語」とか「ドラマ」はないんです。60%の人が助かります、でも40%の人は亡くなります。その40%の人達はどうしたら良いんだ?というのがない。

でも、そうじゃないでしょ?と言いたいんです。一人一人の患者さんに、その人にとって今できることを提供するのが統合医療だと僕は思っています。西洋医学に、補完代替医療を加える事によってQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を上げること。これが大切です。

 

-全体のデータではなく、「個人」にスポットをあてた治療。先生が大切と感じられていることは、「個人の物語に寄り添う」ことなのですね。

患者さん1人1人に合った治療が大切です。十人十色ってよく言うでしょう?人それぞれ治療方法が違って当たり前なんです。人の平均寿命が伸びている背景には、西洋医学の恩恵はもちろんあります。しかし、西洋医学だけでなく、個人に合せた治療を組み合わせることで、1人ひとりを見ることです。補完代替医療に取り組む時は、身体だけじゃなく心や精神まで、診させてもらっています。

僕自身が坊主なんです。阿闍梨の資格を持っていて、一応空海さんの弟子です。

10年くらい前ですね。自分自身の心が弱いので、強くしたいという想いがありました。患者さんが神仏を信じていれば、僕もそういう話をします。修行してきてたどり着いた答えが、「病気は自分が治すもの」ということ。治療はそれに寄り添うことですね。人の寿命は決められているというか、決まっていると思います。

 

-そうですね。誰もが持つものが寿命です。

僕自身は、人はがんで命を終えるのではなく、寿命で命を全うするものだと思っているんです。

道を歩いていても事故に遭うこともあるし、子どものうちに命を落とすこともある。寿命で命を全うすると考えないと理解できませんでしょう。そう考えないと生きてはいけない。寿命があればこそ、有意義に命を生き終えることもできると思います。

 

-命ある限り有意義に生きたいものですね。先生のお勤めされる北河内藤井病院では、患者さんの心と向き合うセカンドオピニオン外来を電話でも受付されているとのことですが。
遠方の方では北海道から電話でご相談いただくこともありますね。

西洋医学だけでなく補完代替医療のお話もしますし、AHCC®は朝昼晩1包ずつ飲んで下さいとお伝えしています。欲を言えば、健康な時から飲まれたほうが良いと思いますね。

僕の所に来られる方は、西洋医学でお手上げ状態の方も多くいらっしゃいます。余命半年だとしても、物凄く元気に過ごして、亡くなる寸前まで仕事をされていたということもある。

これは本当に凄い事なんです。寿命を迎えるまで、苦しむのか、笑いながら楽しんで過ごすのか。そのどちらかしかないと思います。

 

 

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「寿命を全うする」「笑って楽しんで過ごす」一人ひとりの身体と心を見つめながら、患者さんと向き合われる川口先生のお話が心に残りました。

次回の記事もどうぞ楽しみにお待ちください。

 

 

川口 雄才(かわぐち ゆうさい)先生

医療法人藤井会 北河内藤井病院 副院長

公式ホームページ:http://www.kitakawachi.fujiikai.jp/

住所:大阪府四條畷市岡山東3丁目1−6

電話 072-879-5311