2016年11月12日(土)、函館市にて第4回みすず調剤薬局主催による健康セミナー「がん最新治療法と免疫療法」が開催されました。
会場には開演時間が近づくにつれて多くのお客様がお越しになり、ご用意していた席が足りなくなるほど。最終的に100名を越える方々にお運びいただきました。
末期がんでもあきらめたくない。誰しもが思うところです。
医療の技術、研究開発は進み、手術、抗がん剤、放射線療法以外にも、色々な治療方法や抗がん剤の副作用の軽減が期待できる方法が今は数多くあります。
今回のセミナーは、そうした観点から、がん治療にお悩みの方に向けて開催されたものです。
登壇いただいたのは、北海道札幌市のコンフォート栄養食物研究所 管理栄養士の北川恵子(えいこ)先生と、北河内藤井病院 副院長の川口雄才先生のお二人です。
前半は、北川先生から食と健康の深い関係のお話、後半は川口先生から最新のがん治療についてのお話でした。
ご参加の皆さん熱心に聞いていただき、真剣にペンを走らせる方も数多くいらっしゃいました。すぐに行動に移せる内容が詰まったセミナーの様子をご紹介いたします。
薬食同源・・・「食べ物」=「薬」→病気は薬ではなく、「食を正して」こそ治せる
北川先生は、“治すためには「食の根源」を正すこと”と仰いました。
がんになると食欲がなくなり、本来摂るべき、私たちの身体に必要な栄養素が取り込めなくなる・・・という良くない循環が起きてしまうそうです。
健康から病気に移るまでの「未病」の段階で、“自分の身体の声を聞いて病気を防ぐ”ことが欠かせないと北川先生は繰り返し伝えられました。
最近では「和食」文化が注目されています。
どんなに食が欧米化して便利になっても、昆布やかつおといった天然素材からお出汁を取った味噌汁は、塩分が少なくてもおいしく感じられ、ほっとするおいしさを感じられます。
これも和食のパワーで、元気の源だといいます。
難しいカロリー計算なしでOK!参加する意識と少しの知識があれば健康は手に入る
病気の時は、“参加治療”に向かうことが欠かせません、と先生は仰いました。
医師の言葉を信じて聞くことも大切ですが、病気はすべて自分の身体の中で起こっていることですから、治療の主役は自分であることを忘れてはいけない、ということです。
北川恵子先生流=がん予防食の考え方の一部をご紹介します。
- 生体リズムに合わせた食生活を心がける。
- 消化と吸収のタイミングを知り、食事間隔を守る。
- 難しい計算なしでOK。絵画を描くつもりで、食卓をコーディネートする。
上記に沿って、具体的なお話もしてくださいましたので、その一例もご紹介します。
- 昼12時~夜20時は消化、20時~朝方4時は吸収、朝方4時~昼12時までは排泄の時間。カロリーの高い食事は、消化が活発な夜20時までに。間食は朝~夕の食事の不足分を補うつもりで。
- 朝は1杯の白湯から始めて、胃腸の動きを活発化。排泄できるリズムをつくる。
- 両手いっぱいの野菜を摂りビタミンミネラルを補う。
北川先生のお食事メニューも写真で紹介して下さいました。朝食ではすりおろしニンジンを欠かさないそうです。とても具体的で実践的な内容で、会場の皆さんは終始メモを熱心に取られていました。
病気であってもいかに「質の良い生き方をするか」という観点が大切
後半は、北河内藤井病院 川口雄才先生のお話でした。特に印象的だったのは「部分ではなく、“その人”見て、治療をしていく」ことを大切にされている、ということでした。
お話の前半では、がん治療の歴史から、今に至るまでをデータを引用しながらお話ししてくださいました。
「医療の発達は目覚ましいですが、がんというのは色んな事が重なって発生します。原因は分からないんです。要はDNA、細胞が何らかの原因によって傷つくことで癌になりますが、肺がん、胃がん、大腸がん、子宮頚がん、乳がんなど、外部からの刺激を受けやすく傷つきやすいところががんになりやすいんです」と先生は仰いました。
「現代の西洋医学の恩恵は多くあります。西洋医学の発展が平均寿命を延ばせたことを忘れてはいけない。けれども、部分を見る、病気を見る、統計を見る、という西洋医学だけの考え方ではなく、人それぞれのドラマがあるのだから、そのドラマを見て治療することを私は大切にしています。」
川口先生は、阿闍梨の資格を持つ僧侶でもいらっしゃるのですが、先生が最も好きな言葉が「今を生きる」という言葉だそうです。
「過去は追うな。未来を願うな。ただ今日成すべきことを熱心に成せ」この言葉は、健康であっても病気であっても、大切にしたい言葉の一つに感じられました。
川口先生は、繰り返し「どう生きるのか?というのが大切」とお話しされました。
がんは1つの要因に過ぎない、人にはそれぞれに寿命があるんです、とお話しされていました。局所を見るのではなく、ひとりひとりの「生き方」に向き合い、深く治療に向き合われていることを感じたお話でした。