リオ五輪5位入賞、セーリング女子日本代表吉田選手・吉岡選手と、トレーナーの江口氏にお話を聞きました!【前半】

リオリンピックで5位入賞された、セーリング470級代表の吉田愛選手・吉岡美帆選手(ベネッセ)と、お二人を支えるボディトレーナーの江口典秀氏(マークスボディデザイン代表)へインタビューしました。

セーリングとはヨット競技のことです。吉田選手は、ロンドンオリンピックに続いて3度目のベテラン格、吉岡選手はオリンピック初出場でした。

第一線で活躍される選手の体調の整え方や食生活を伺い、編集部一同も元気をいただきました。2週連続でお届けいたします!

―まずは、吉田選手、吉岡選手、リオ五輪5位入賞、おめでとうございます。お会いできることを楽しみにしていました。早速ですが、セーリングは海の上が試合会場ですよね。自然相手の競技ということで、試合の本番だけでなく準備など体力的にハードなのでは。

吉田「本番当日の前にも練習期間がありまして、一日中海で調整します。朝9時頃にハーバーまで行って、1日8時間ぐらいは海に出ていますね。夕方暗くなるギリギリまで練習します。国によって日の長さは変わりますが、一日中運動しているというか、走っているようなものですね。練習では体力を温存するために、全力を出さないように気をつけながら慣らしていきます。」

 

―おふたりがセーリングに出逢ったきっかけ、この道に進むこと決めた理由があれば教えていただけますか。

吉田「両親が趣味で船に乗っていたので、週末の家族の遊びというような、日常の感覚でした。小1から競技を始めまして、進路に迷ったのは大学進学前でした。ピアノが得意で、付属の中学高校に通っていたんですよね。卒業前に音楽の道に行くか迷って。悩んだ結果、ヨットを選びました。」

吉岡「私は高校からヨットを始めました。大学のヨット部を引退してから3年で、ここまで(オリンピック出場まで)くるとは思いませんでした。吉田選手に声をかけていただき、ペアを組むと決まってからは経験の差もありますし早く追いつかなきゃと、ついて行くのに必死でした。」

 

―シーズンオフ期はどのようなトレーニングをしていますか?

吉田「冬の間は海でのヨットの練習はあまりしていませんが、基本的な体力を落とさないように体力作りをします。そうしないと、海での練習に戻った時にマイナスからのスタートになってしまいますので、そこだけはしっかりやります。体力をさらに強化できればいいのですが、最低限落とさないように続けます。」

吉岡「トレーニングの頻度や濃度はトレーナーと相談して決めます。適度に休んだり食事で体力をつけたりするのが大切ですが、そのバランスは私たちだけではわからないので。どこを目標にするかというのは、個人によって違うんです。競技のことはわかっても身体のことや基礎づくりの専門家ではないので、その部分を江口さんに教えていただいて実践しています。」

 

―トレーナーの江口さんと、おふたりと関わるようになったのはいつ頃だったのでしょうか?また指導を受けて変化したことは?

吉田「ロンドンの時くらいに初めてお会いして、北京オリンピックの時からチームサポートについていただくようになりました。それから少しずつサポートで入ってもらうようになりました。」

吉岡「まず、食生活を根本から変えました。サプリメントも厳選したものを飲むようになりました。以前は食生活に無頓着だったんです。朝ご飯を抜いて、昼夜だけにするとか、ひどいときは1日1食しか食べない日もありました。江口先生の個別指導を受けてからかなり変わったのを実感しています。」

江口「彼女たちは1日2本くらい試合をこなしますが、数時間かかるレースを駆け抜けるだけでなく、その前後の休息、次の試合までの準備まで、体力温存が必要な競技なんです。いかに回復させるかがとても大切です。じゃあどうすればいいだろうか、と。選手は色々なサプリメントを使っています。プロテイン、ビタミン、色々大切と言われていますが、本当にどれがいいのか、選手自身もわからない中で使っていることがあります。

サプリメントを飲むとしても、身体のバランスが崩れて機能が正常に動いていない状態で飲んだところで、うまく消化吸収しないんですよね。結局のところ、その場しのぎ的な、薬的な扱いになってしまうんです。一番大切なことは、本来の身体の機能を戻すことですよね。徹底して戻すようにすることで、体力回復も早まりますし、結果に結びつきます。大事なことはやっぱり基本の部分です。」

 

---

アスリートでもそうでなくても、基礎体力、土台作りは同じという、当たり前のことを再確認させられたインタビューでした。連載は後半に続きます!次週もお楽しみに!

 

吉田 愛
1980年11月5日生まれ。東京都出身。小学1年からセーリングを始め、日大で活躍。2006年世界選手権2位、14年世界選手権8位、16年世界選手権11位。全日本470選手権で総合優勝歴あり。北京五輪(14位)、ロンドン五輪(14位)、リオ五輪(5位)

吉岡美帆
1990年8月27日生まれ。広島県出身。芦屋高でセーリングをはじめ、立命館大ヨット部で活躍。2013年より吉田愛選手とチーム結成。リオ五輪初出場(5位)

江口典秀(マークスボディデザイン代表)
トレーナーとして、現在までプロスポーツ選手や実業団選手など、数多くのトップアスリートのケア及びコンディショニング指導を行う。(公式ホームページより引用)。