【AHCC®研究会主催・市民公開講座がんセミナーin札幌 開催報告】特別講演:タレント・原千晶さん「大切にしたい私の体」

10月29日(土)に札幌で、AHCC®研究会の市民公開講座が開催されました。その様子をお届けします。

特別講演は、タレント・女優の原千晶さん。「大切にしたい私の体」と題し、子宮頸がん、子宮体がん、抗がん剤の治療経験をお話して下さいました。

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原さんは現在、テレビ等のメディア出演のほか、婦人科がん患者さんをつなぐコミュニティ「よつばの会」を運営し、がん患者さんや、これから子どもを産む世代の女性に向けて“身体を大切にすることの大切さ”を伝える活動をされています。

がんと分かる以前から今日までのこと、その時の想いを話してくださいました。

 

仕事に邁進した20代!慢性的な体調不良が続いていても、“身体の声”を聞かずに過ごした数年間

20歳で芸能界に入った原さんは現在42歳。2度のがん治療を経て、バラエティや情報番組、ドラマなどで活躍されてきました。

デビュー当初はお仕事を優先するあまり不摂生な生活が続き、体調不良を感じながらも仕事をがんばりたい一心で、ガムシャラに進んでいたそうです。「自分の体調のことをきちんと考えずに放置してしまったことが何よりもいけなかった」と、何度も繰り返しお話しされていました。

 

がんが発覚 「今なら子宮をとるだけで済むから」・・命を守るために治療を勧めてくれた先生

sapporoseminar201610_4親しい友人から「いつも体調不良みたいだけど病院に行かないのはどうして?」と聞かれ、「私はこんな風に友人に心配させてしまっていたんだ・・・」と反省し、病院へ行った原さん。

検査の結果、子宮頸がんが発覚し、ショックで頭が真っ白に。主治医の先生からは「今ならまだ間に合うから、子宮を全てを摘出する手術をした方が良いですよ」と勧められたそうです。

未婚で子宮をとらなければならないと言われている自分・・・そんな事実にただ茫然としたそうです。

医者から診断が下されたその時、付き添っていた原さんのお母様が、原さんの手を強く握りしめました。お母様が手を強く握れば握るほど、「大変なことになってしまった」という気持ちが押し迫ったそうです。

 

原さんは、先生が繰り返し言っていた「今なら子宮を取るだけで済むから」という言葉の意味が理解できなかったと、当時を振り返ります。

結局、原さんは手術を拒否。病院へ定期的に通うことを主治医と約束して、病院を後にしました。

 

原さんがかかったがんは、子宮頸がんのうち「扁平上皮がん」。

先生と約束した通り、最初の2年間は毎月病院に通ったそうですが、悪化が見られなかったことで、「やっぱり子宮とらなくてよかったんだ!私が正しかったんだ!」と自己判断。

やがて通院をやめてしまいます。

 

3年間放置した結果、状況は悪化。子宮全摘出の手術と、抗がん剤治療

病院に行かなくなって3年、最初の診断から5年が経とうとしていた2009年12月。

これまで感じたことのないような痛みが全身に走りました。足が遠のいてしまったもとの主治医の先生には顔をあわせづらく、別の病院へ行きました。

検査の間も激痛が走ります。聞こえてきたのは、ドクターの「あーあ、何でこんなになるまで放っておいたの!」という声。

子宮頸がんだけでなく、子宮体がんも進行していたことが発覚しました。

「手術するから、前に見てもらった先生からカルテをもらってきて。」と言われました。

 

不義理をしていた以前の主治医のところへ、気まずい気持ちでカルテを取りに行った原さん。

久しぶりに会った主治医は、小言の一つも言わず、「またテレビに出られるようにしてあげるから。」と言ってくれました。

もとの主治医に手術をしてもらうことを決意し、さらに抗がん剤治療も受けました。

このとき初めて、5年前にこの主治医が言ってくれた「今なら子宮を取るだけで済むから」の意味を知りました。

 

がんと闘うことになるのは、自分だけではない

sapporoseminar201610_2手術と抗がん剤でがんと向き合った原さん。当時お付き合いしていた彼(現在のご主人)は長男。子供を産めないことが、どれだけ彼と彼のご両親を悲しませるかと思い悩みました。

そんな時、彼のお父様は、息子に向かってこう言ったそうです。

「千晶ちゃんが今一番大変なんだ。もし千晶ちゃんがお前を捨てるのであればそれでも良い。

でもお前が千晶ちゃんを見捨てることは、絶対に許さない。」

 

原さんはステージ上で涙を流して語りました。

「自己判断でがんを放置してしまい、家族を大変なことに巻き込んでしまったことが、本当に悔しいんです。」

 

「私が一番伝えたいことは“私のようにならないでほしい”ということ。自分の身体と向き合うことがとにかく大切だということを、周りの方にも伝えてほしいんです!今こうして活動しているのも、がんにかかったからこそです。これからも、私はこのことをずっと伝えていきたいと思っています。」

原さんの決意の言葉でした。

 

来場者の方の中には、がんと闘っている方、そのご家族も数多く参加していました。

終了後には、原さんのもとに感想を伝える方が行列を作っていました。

がんの経験を経て、元気に活躍され、力強く話をされる原さんの姿に勇気づけられた講演会となりました。

 

原千晶さん

オフィシャルブログ http://ameblo.jp/harachiaki-we/

よつばの会ホームページ http://www.yotsuba-kai.com/